雪染とは

しんしんと降る雪を布や和紙の上に積もらせ、その上から染料・顔料を吹き付けて染める独自の技法。制作場所により地形、気温、湿度、風、雪質 ( 雪の大きさや水分、結晶の形など ) が異なる為、唯一無二の文様を浮かび上がらせることができる。(※制作場所、気温、湿度を記録する)

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ステイトメント

江戸時代から続くねぎ文化の担い手として、日本の伝統文化や自然との調和を主題に、雪染を独自に考案。初期は、はっきりとした雪の結晶を浮かび上がらせるため、様々な技法に挑戦。現在は、より自然と一体化するため、天然の植物を染料に、雪の模様を染める。
また、アート作品だけでなく、工芸やデザインなどの領域にも展開、多岐にわたり活動している。

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ストーリー

「今までにない雪国文化のジャンルを構築し、300年後の伝統工芸を目指す」

生まれ育った東京では雪が降り積もることは滅多に無く、自然に飢えていた。雪が降れば、子供達は雪遊びに夢中になる。しかし翌日には跡かたも無く消えてしまう雪を、また心待ちにする日々。 そんな子供心を忘れられず、雪への憧れから2004年に北海道の美術大学へ進学した。自然を意識した創作活動を続け、2年目の冬。雪が降る外で、何気なくスプレーを吹くと、美しい雪の文様が浮かび上がった。自分が求めていたものを見つけたと感じた私は、オリジナル技法として突き詰める研究を始めた。

プロフィール

活動

アート

雪染を施した和紙や布を用い「平面」「立体」「インスタレーション」等から雪の美しさを表現するとともに、雪に対する気づきや自然について考えるきっかけづくりをしていく。

工芸

日本の風土の中で生まれた伝統工芸と雪染をコラボさせ、日本ならではの風情ある作品を作る。

デザイン

Tシャツなど普段使いできるものに雪染の文様を落とし込み、景色としての雪や顕微鏡を通して見る雪とは異った、新たな美しさを表現したモノ作りを行う。

科学

雪の結晶は、温度や湿度の影響を受け、その形を変化させていることが過去の科学実験から判明している(資料①参考)。実際に染めている自然環境においてもその土地の風や地形、光の入り方によって仕上がりに違いが見られた。
このことから、制作時の場所・気温・湿度・風速等を記録することで、作品に客観的要素を落とし込み、見た目の美しさだけでなく科学的な根拠を加えることができる。
この工程を積み重ねることで、作品の価値を高めていくことを目指す。

社会問題

北海道滞在時、実際に現地で暮らしている人たちからは「除雪が辛い」「地域としての予算が足りず除雪ができないエリアがある」「通常の生活にも支障をきたす」など雪に対しマイナスな印象の話ばかりが出てきた。データにも多額の除雪費用がかかっていることが記されており(資料①参考)、逆に近年は温暖化による雪不足で観光産業に対する打撃も懸念されている。
将来的には雪国・雪の降る地域の新たな産業として生活を支え、また作品を通して環境への意識を向上させる一助となるように活動を続けていく。